はさみ事件 ~ 事態を深刻に捉えるようになったきっかけの電話(2022年7月01日)

2023年9月3日



2022年の夏頃から、実家の母と電話で話す際、時折、こちらが首をかしげるような会話がなされることが出てきました。

この日の母親、電話でいきなりこんなことを言い出したのです。

母親:「あのね、あんたに郵便を送ったのよ。でも何を送ったのか、はっきりしなくて」

自分:「食べ物とか、書類とか、そんなのはわかる?どんなものを送ったの?」

母親:「うーん……、あ、はさみ!」

自分:「え?はさみを送ったの?」

母親:「そうそう」

自分:「どうして?」

母親:「なんでかね……」

自分:「はさみを送ったのなら、荷物扱いだろうから、きっと送り状があるでしょ?それ見てみたら?」

母親:「ないよ」

と、まぁ、結局わからずじまいです。それにしてもなぜ「はさみ」など、息子に送ったのか?そして、その母親が送ったという郵便ですが、待てどくらせど届きませんでした。

こうした意味不明なことが時折起こり始めます。

ところがしばらくして、ふと、あることを思い出します。

その電話の数週間前の話。

母親はある会社の株を持っています。そこが毎年6月になると株主優待としてカタログギフトを送るという案内の手紙を送ってきます。ただ、その案内状にはそのカタログギフトを手に入れるためのネットサイトのURLとパスワードが書かれています。彼女はパソコンやスマホを利用できないので、自分で受け取ることができません。そこで、息子にそのカタログギフトを手に入れさせようと、その案内の手紙を毎年送って来てくれるのです。

今年も電話があり「いつもの手紙を送る」といわれたので「手紙の中のその部分だけで良いよ!」と答えたところ母は「じゃ、ハサミで切って送るよ」と答えていたんです。

そっか、母親は株主優待だの、カタログギフトなんて言葉が出てこず、かわりに「はさみ」と言ってしまったのではないか。

確かに1ヶ月前にそれは届いていました。そのことが気になって上記の会話になったのでしょう。これで納得です。

認知症について詳しく、そしてわかりやすく書かれた本「マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界」を以前読んでいて、その中に似たような事例が書かれたいのを思い出しました。言葉が出てこなくなると、その際、それにかかわった物や事など全く別の言葉に置き換えてしまう。そういうことだと理解できました。

理解はできたものの、母親の認知障害が次第に進んで来ているという疑いがますます強くなった悲しい経験でした。


とても参考になった本で、オススメします!

日記単語,認知症,電話

Posted by kaigo