家族で夕食を一緒に食べるという「意識」が失われてくる……
こうして食卓におみやげの
駅弁を用意したのですが……
認知症の進行を感じることが日々増えてきます。
わずかな間の帰省でも、実家に帰るたびにそんなことが一つ、また一つと増えてくるのです。
最近は食事に関することも増えました。
妹とともに帰省して夕食の際。その日は母の大好きな駅弁を買い求め、テーブルに置きます。
7時になったら一緒に食べようとね……と、あと1時間、持ち帰った仕事を終え、台所に行き、食事の準備を……とテーブルを見ると、空っぽのお弁当が。
「え?お母さん、もしかして、お弁当食べちゃったの?」
「いや、食べてないよ」
「でも、このお弁当、空っぽ!」
「あれ、本当だね」
「お母さん、やっぱり食べたんじゃない?」
「知らんよ」
と、まぁ、こんな会話になるわけです。
食べた事を忘れたというのは、まぁ、認知症だから仕方ないとしても、どうして一人で勝手に食べちゃったのだろう。
その答は翌日出てきます。
この日も外でお総菜を買ってきました。そして、「じゃ、6時から夕食ね!」と母に声をかけるのですが、昨日のこともあります。片付けなどをしながら母の動きを見ていたら、母がさっそく台所で一人で食べ始めようとしているのです。
「おかあさん、まだ夕食はもう少し後だよ」
「もうお腹が空いた」
「って、せっかく帰ってきた僕たちと一緒に食事をしないの?」
「待てないよ」
と、あまりに素直な言葉にびっくりします。
まるで子どもじゃん!あの、しっかりした家族思いの母親からこんな幼児のような言葉を聞くことになるとは……と驚きます。
そっか。認知症が進み、前頭葉などの働きが阻害されてくると、こうした「我慢する」「欲を押さえる」という行動は取れなくなってくるのだろうなぁ……と、以前読んだ本の内容を思い出します。
なんだか悲しいのですが、これも認知症の現実なのだろうと、ここは嘆き悲しまず、現実を直視しないといけません。
ではどうするか?冷静に対処方法を考えます。
今後は、一緒に食事をしたい場合には、一旦、食べ物を母の目の届かないところに置くのが良いのだろうなぁ……というのがとりあえずの結論です。
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