認知症になると銀行口座は凍結されるのか?その実態は……、と調べたら意外な事実が!(2023年7月1日)

2023年9月3日



おそらくこの問題は大勢の方が興味をお持ちのことだと思いますし、きわめて重要な事柄と思われる方も多いと思います。

我々もそうです。

母が認知症なのではないかとの疑いを持った時に、真っ先に浮かんだのが「口座が凍結されるのではないか?」という心配です。

まだ、自分で銀行に出かけてお金の出し入れはきちんと出来ているのですが、他の行動はかなりあやしくなってきています。

凍結、まだ母が生きているうちに起きてしまったら!?母の介護のお金はどこから出せばいいのか!?母が介護施設に入るとなるとどこからそのお金を出すのか?

凍結といえば、多くの方が思い浮かべるのは人が亡くなったときのことではないでしょうか。

実際にかつて父親が亡くなったときも即座に凍結されていました。

その後、相続の手続きをとり、ようやく母が父親の預金を使えるようになりましたが、それまでかなりの日数と手続きを要しましたから大変でした。

さて、認知症の場合、どうなるのか?

まず、死亡の時の凍結とは異なり、口座そのものは生きており、毎月の公共料金の引き落としや年金の振り込みなどは継続されるようなのです。ただ、そこから引き出したり、送金したりは出来ない、そういうことのようです。

そして、肝心のその凍結はされるのか。

もちろん、すぐにインターネットで調べていったのですが、結果、大きな不安に襲われます。検索ページで最初の方に出てくる記事を片っ端から読んでいったのですが、そのほとんどが「認知症となれば、口座は凍結されるので、対策を打ちましょう」というスタンスで、成年後見制度(任意後見、認知症になった場合は法定後見)、家族信託などを行う必要があるというものでした。

そして、そのための手続きを調べると、やがて途方にくれてしまったんです。

まず、非常に煩雑な手続きであること。

素人の自分一人ではとてもではないですが不可能。どうしても、公証人さん、司法書士さんや行政書士さんなどにお願いすることになりますし、それなりに費用も発生します。

制度としてあるものの、実際に利用される方が少ないと聞きます。さもありなんと頷いてしまいます。

じゃ、どうするの?

学生時代の同級生や先輩、後輩に銀行員として働いている人が数名いますので、片っ端から尋ねてみました。

もちろんみなさん守秘義務があるので、ストレートに答えてはくれませんでしたが、ヒントは与えてくれました。結論から言えば、

よほどのことが無い限り、あまり心配する必要はないかも

ということでした。ある支店長経験者も「自分の在任期間中に認知症で凍結という言葉、もしかしたら聞いたことがないかもしれないなぁ……。あ、ごめん。最近、俺、忘れっぽくて……。俺の事、信じないでね」という守秘義務ギリギリの線でぼかした答えも。

そうなんだ!!

色々な方々の断片的な話を総合すると、たとえば、支店にやってこられた方が明らかに認知症と思われる様子で、書類に署名ができないとか、そういう場合は凍結という可能性があるそうです。が、そういうことでも無い限りは銀行側から積極的に凍結をするということはないようなのです。

じゃ、なんで、あんなに、インターネットの検索では「すぐに凍結!」というイメージを与えるような記事ばかりが書かれているのか……。

これは注意深く見ると、検索結果のトップページに出てくるサイトはいずれも法律事務所や法律相談所などのページ。昨今の検索システムではどうしても、その分野の専門家や団体のページがトップに出てくるアルゴリズムになっており、実際に経験した個人などのブログは表示されにくい、そのためのようです。

すると、どうしても、最悪を想定したことを書かれる傾向があるでしょうし、それぞれにご商売ですから、自分たちのところにお客として来てもらおうという気持ちで書かれているということもあるかもしれません。

ある種のネットのリテラシーが試されている事例と言えそうです。

というわけで、金融機関の関係者に尋ねてみると、実はこの問題、多くの方は別の解決方法をとっていらっしゃるようです。

一つはキャッシュカードや通帳を親から預かり、子どもが管理するというものです。

確かに、親子で強い信頼関係があれば、これは安全な方法かもしれません。

凍結を避けるために、親が銀行に出向く機会を減らす意味もありますね。

とはいえ、そこまでするのは……、というのが、今の自分の正直な気持ちです。

そもそも母親だって、今はまだ自分でお金の出し入れや計算もできるし、判断力もしっかりしています。そんな状態でそこまでするのは母親としてはイヤだろうし……。

すると、「代理人カード」という方法があります(ただし実際に口座が凍結されてしまえば代理人カードも使えません。それまでの利便性を高める方法ということです)。

これは例えば母親の通帳のカード、これを本人了解の元でもう1枚作成し、それを子どもなり、家族が持つという仕組みです。高齢化社会になってきて、銀行各社も対応をしてくださるところが増えています。

幸いにして、母の住む地方の銀行も発行してくれるとのこと。

さらに全国津々浦々にあるゆうちょ銀行も代理人カードを発行しています。

これがあれば、何か事故や病気など母親に緊急事態が発生した際、母親のカードを探さなくても、とりあえずすぐに母親の口座から現金を自分で引き出すことができる。

あるいはそこからお金を引き出して母親に毎月渡し、母親が金融機関に出向かなくても良いようにすることもできます。

まずはこちらを持っておくことも良いかも……、と考え、実際に行動してみることにしました。

この続きはこちらから!

注意:
ここに書かれたことはあくまで私自身が見聞きした狭い範囲での記録です。実際には厳しく、即座に凍結されることもあるかもしれません。あくまで、自己責任でみなさんのご判断はなさってください。

また凍結に関しては、2021年、全国銀行協会の指針が見直されたことにより、今後は凍結後であっても医療費など本人の利益が明らかな使途についてであれば、親族が代わりに引き出せる銀行が増えていく可能性があります。