外食での行動に家族の戸惑いが増えてくる
母が持っていたのは味噌汁のお椀でした
食事についてもう一つ。
遠くから見ていても気付かないけれど、そばで見ていて「えっ?」ということも出てきました。
その日、ドライブをして隣の市にある温泉施設に行きます。
そして、そこでそのまま昼食を取ろうとして併設のレストランに入りました。
母は天ぷらが好きと言うこともあり、全員天ざるを頼みます。
さて、しばらくして、ふと、母親の持っているお椀が目を惹きます。
ん?なんか変だ。
さっき、箸で取り上げたのは蕎麦。それをつゆに入れて……というはずだよね。
でも、持っているお椀は……。
あっ、味噌汁だ?
じっと凝視してしまいます。
やがて、母は何事もないかのようにお味噌汁につけた蕎麦を口に持って行ってすすります。
失敗だったという顔をするかな?と思いきや、そのまま、無表情のまま食べ続けます。
さらに手を蕎麦に伸ばし、また蕎麦を箸でつまみ、再び味噌汁に持って行こうとしたところで、声をかけます。
「お母さん、それ、味噌汁だよ!」
あわてて静止するのですが、母親、「?」という表情でこちらを見て、また、味噌汁につけてしまいます。そして口に。
「母さん、それ、美味しくないでしょ?」
と尋ねるのですが、母は不思議そうな表情でこちらを見ます。
「なんで?」
そしてさらに味噌汁に浸けた残りの蕎麦を口にします。
ここにいたって、気付きます。
ああ、これも認知症が進んだ結果ですね。もう味覚もかなりわかりにくくなってきているのですね。
これはさすがにショックでした。
前回の帰省まではちゃんとそばつゆにつけて食べていたのに……。
が、ショックを受けていても仕方ありません。本人にいくら説明をしてもわかってもらえないでしょうから。病気の進行は一旦は受け入れるしかないですよね。思わず、母を叱りたくなる気持ちを抑えながら、
「そばつゆにつけた方が美味しいよ。それ、味噌汁だから」と静かに話します。
「ああそうだったね!」と笑って言ってくれればまだホッとするのですが、母、結局、無表情のままで、こちらの話した意味がよくわからない様子でもあります。
幸い隣にいる妹がそばつゆを渡し「こっちにつけてね」と話し、その後は、そちらにつけて食べてくれました。
こうして、日々、病気の進行を思い知ることになるのですが、多くの方がネットや本で書かれている通りのことが、順々に起きてきていると言う意味では、わかりやすい病気なのですね。まだ、心の準備が出来ることにだけは、この病気に感謝したいと思います。
まぁ、うどんを味噌ベースのつけだれにつけて食べる地方もありますから、蕎麦を味噌汁につけて食べても、それはそれで良いのかもしれませんが……。(^^;)
ただ、これだけ進行が早く着実だと、一体いつまで一緒に外食できるのか。
その1食1食がとてもかけがえのないものに思えてきます。
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