遊びを見つける天才となった母




家庭にあるこれで何時間も遊べる母

認知症になった一人暮らしの母。日常生活で身の回りのことでできないことが次第に増えてきます。

食事の支度や洗濯、お風呂などなど。

そこをケアマネさん、ヘルパーさんたちが様々な形で支えて下さっています。

とはいえ、家の中を動き回るのに不自由はない母。

そうなると、1日、自宅で過ごすのに時間がいっぱい!

テレビや新聞を読むなんてことはもうできなくなっているので、そうした時間つぶしもできません。何をして1日を過ごすか……。

ある日、いつものようにアレクサ(Echo Show 10)の見守りカメラ機能をオンにしてみると……、

母親が居間のテーブルに座ってなにやら作業をしています。

スマホに映っている映像を拡大してみると……。

え?何これ??

無心に作業をしているような母の手元を見ると、荷造りなどに使う薄くて平べったいビニールテープ、いわゆる「PEテープ」が膝の上に。

今まで使っていなかったものらしく、かなりの厚み(巻き)があります。

そこから少しずつめくって引き出し、それを一生懸命に丸めています。古い世代の方ならこの例えがわかると思いますが、カセットテープやビデオテープを引き出して、指で巻いていくような……、そんな作業をしているんです。

一体、終わるまでにどれだけ時間がかかるやら!そしてそれを成し遂げても何になるのやら!まさに「非生産的」な行為。

はぁ!よく思いついたなぁ……と感心します。

暇つぶし……というより、これだけ夢中になっている姿を見ると、どうやら彼女にとっては新しい楽しみ、遊びなのだろうと察します。

こんなこと、普通の感覚では思いつかないし、万が一思いついても、実際にやろうとは考えないでしょう。私だったらお金をもらってもしないかも!

思わず声をかけたくなりますが、我慢します。

声をかけたら、その瞬間に自分が何をしていたかを忘れてこの作業が途中で終わり、永遠に完結しないことになってしまうでしょうから。

せっかくの母の楽しみを奪ってはいけません!完成はいつのことになるかわかりませんが、しばらく見守ることにしましょう。

それに指を動かす作業は脳にも良い影響を与えるかも。

それにしても……。

こんな遊びを思いついて楽しむなんて。

認知症って、本当に不思議で興味深いですねぇ。