それぞれに認知症となった姉妹二人の久々の再会

2025年3月12日




母がようやく気付き、嬉しそうに

我々の方を振り返ります

これは昨年4月の出来事ですが、振り返って書いています。

母の認知症に気付いて3年。長女である母には弟が5人と妹が1人います。そのうち、2人目の弟は60代で認知症を発症。すでに亡くなっています。そして、唯一の妹とは年齢差がかなりあるのですが、やはり60代で認知症を発症。

その妹とは本当に仲が良く、元気な頃はいつも実家に車で来てくださり、そのあと母と一緒にドライブしたりしていました。

が、認知症を発症した妹、つまり私たちにとっては叔母となりますが、彼女は車も運転できなくなり、数年前から、会うことはほぼ無くなってしまいました。

あれほど仲の良かった妹ですから、母の嘆きは大きかったです。「まさか私よりずっと若いあの子がどうして?」という気持ちだったでしょう。

夫を亡くし一人暮らしだった叔母ですが、息子さんが近所のアパートを借り、そちらに移ったと聞き、我々も母を連れて訪ねていったことがありました。残念ながら急に思い立って出かけたこともあり、叔母のデイサービスの日と重なり、結局会えずじまいでした。が、身体は元気と息子さんから聞きホッとしていました。

そして、昨年、施設に入ったと言うことで、そちらを訪問することに。

叔母は非常に明るくて活発な人。それはいまだに変わっていないらしく、施設に入ってからも元気いっぱい、まるで新しい仕事場に移ったかのようにふるまう毎日だと息子さんから聞いていました。いかにもチャキチャキした叔母さんらしいなぁ……と感じました。

あらかじめ面会の予約を施設にとりましたが、面会は施設の入り口で、しかもガラスのドア越しに5分程度でと言われています。コロナは一応収まったとはいえ、こうした施設ではいまだに厳重な警戒態勢を取っているところが多いようですね。

当日、母には叔母に会いにいくよと伝えていました。はたしてちゃんと理解はしているのか。若干不安ではありました。

車で施設に到着し、受付に声をかけます。

やがて、入り口のドアの前に椅子が置かれ、母を座らせます。そちらでガラス越しに対面することなり、我々はその後ろで待ちます。

奥の方から足音が聞こえてくると、すぐに、叔母の姿が。

認知症を発症する前とほとんど変わらない元気な姿です。足取りも軽く、そして、服装もしっかりとこぎれいにしています。

昔から笑顔を絶やさない叔母。今日もニコニコしています。

ただ、こちらの姿をみとめて一瞬だけいぶかしそうな表情を浮かべますが、すぐに笑顔で周囲のスタッフと談笑。

やはり我々の事が誰かわからないようです。

スタッフに促されて叔母もガラス越しに用意された椅子に座ります。

叔母を目の前にして、母もまた叔母(自分の妹)のことがわからないようです。

ああ、やっぱり。

そこで母に「**ちゃん(叔母のニックネーム)だよ!」と声をかけると、母はすぐに驚いた表情をします「ああ!**ちゃん!」

どうやら気がついたようです。

「まぁ、元気そうだね!」

叔母はしばらく母を不思議そうな表情で見ていましたが、やがて、「あ、ねえさん!?」と声が!

一瞬、叫びだしたいような感動を覚えます。

良かった!気付いてくださったんだ!!

残念ながら私や私の妹に関しては最後まで誰だかわからないようでしたが、それでも母を認識し、また母も彼女を認識できたことはとても嬉しい気持ちでした。

やがて、スタッフさんから「そろそろ……」と声をかけられたので、母を促し、立ち上がらせます。

そして、では、また!と声をかけ、施設を後にしました。

一瞬の間の再会というくらいに短い時間でしたが、母を連れてきて本当に良かった!と思える経験でした。

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Posted by kaigo